東京大学は2002年からナポリの東南約20キロのソンマ・ヴェスヴィアーナで大規模な発掘調査を繰り広げています。ムッソリーニ時代の試掘で、「ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの別荘?」とイタリア中を興奮させた遺跡です。
ウェスウィウス火山の噴火による土石流で8メートルもの堆積物の下に埋没した遺跡の発掘は大きな困難をともないましたが、それだけ遺構や遺物の保存状態は良好です。本展に出品されるディオニュソス像もその一つで、2003年から翌年にかけて出土しました。ブドウ酒の神ディオニュソスが左腕にだく小さな豹に愛情のこもったまなざしを向けています。このようなポーズをとるディオニュソス像は世界でもただ一つの例であり、しかも、アウグストゥス時代(前27年~後14年)の一流のギリシア人彫刻家による制作です。
美術館に展示しうる作品は「ミュージアム・ピース」と呼びますが、わが国の海外発掘調査で初めて発掘されたまさに「ミュージアム・ピース」です。 |