「アウグストゥス」と「プリンケプス」。それぞれ「尊厳なる人」と「第一人者」を意味する二つの称号が、アウグストゥス(オクタウィアヌス)に与えられます。
「権威」を象徴するこれらの尊称は、あらゆる「権力」を手にした支配者としてのイメージを、アウグストゥスからぬぐい去ることができました。時代の動向を敏感にとらえるアウグストゥスの、巧みなイメージ戦略です。
強大な実権を握ったアウグストゥスは、長い内乱で荒れ果てた国土と人心の回復に努めます。フォルム・ロマヌム(フォロ・ロマーノ=中央広場)の再整備、皇帝広場をはじめとするさまざまな建築物の造営によって、都ローマは壮麗な姿に生まれ変わります。市民の心には、それらの建造物に表されたローマ建国の輝かしい歴史を通して、誇りと希望が芽生えます。アウグストゥス時代の秩序と調和は、整然と描かれた住宅の壁画からもわかるように、市民生活のすみずみまでおよびます。
本章では、彫像、フレスコなどの作品を展示し、帝国全土に平和をもたらしたアウグストゥスの統治の仕組みを探ります。 |