ローマが地中海のほぼ全域を支配するようになった紀元前1世紀半ば、ユリウス・カエサルはルビコン川を渡り、都ローマへ軍を進めました。このときカエサルは、もはや時代遅れとなった共和政による体制を一新し、独自の斬新な発想で巨大なローマ国家を統治するという大志を抱いていました。しかし、志半ばでカエサルの夢は潰えます。このとき、彼の遺志を継いだのがオクタウィアヌス、後の初代ローマ皇帝アウグストゥスです。混乱に満ちた状況の中、冷静に現実を見据えながらアウグストゥスは事態を収拾し、共和政に代わる新たな体制を打ち立てます。ローマ帝国の誕生です。アウグストゥスは才能あふれる腹心の部下アグリッパと共に帝国の礎を築き上げ、さらに帝位の継承にも心を砕いて帝国にとこしえの命を与えます。
本章では、ローマ帝国を築き、そして引き継いだ偉人たちの肖像彫刻を通して、帝国創建前後の大きな変革の時代を概観します。 |